Tommy Bergmann シリーズ2作目。kindle unlimitedに入っていたので読んでみた。いつもながら竹書房さんは太っ腹だわね。ガード・スヴェンはデビュー作 (このシリーズの1作目「最後の巡礼者」) でガラスの鍵賞を取ったノルウェーの作家で、1作目は読み放題に入っていなかったので2作目から読んだけど、内容的には前作が未読でも問題なかった。う~ん、でも本当にガラスの鍵賞受賞作家??と疑ってしまうくらい、あまり面白くなかったなぁ。デビュー作だけの一発屋だったのかしら。
内容はさておき、翻訳について言いたいことが。これは刑事のトミー・バーグマンが主役のシリーズだけど、"バーグマン"て完全に英語読みだよねぇと思って調べてみたら、ノルウェー語では"bergmann"の"g"は発音せず "ベリマン" のように発音するそうで、なるほど"べリマン"のほうが響きが北欧っぽい。ノルウェー語の翻訳者はあまりいないようで、ノルウェーの小説はたいてい英語版を日本語に訳しているけど、固有名詞くらいは現地の読み方で訳すべきだと思う。でもこの翻訳者さんは割と適当に英語読みをカタカナにしているみたいで、ベテランにしてはちょっと仕事が雑なのでは??
ストーリーに関しては、基本的なところは悪くないと思うんだけど、文章や構成がイマイチで、メリハリに乏しく単調なのよね。少女のバラバラ死体が発見される冒頭はショッキングで面白そうだったけど、凄惨な事件の割にはあまり緊迫感が伝わって来ず、期待外れだった。主役のバーグマンもあまり面白味のないキャラクターでさほど魅力を感じられなかった。暴力的な傾向があり精神的にも不安定で、元ガールフレンドからDVで訴えられているとか、こんな奴が刑事をやっていて大丈夫なのか??良からぬ性癖があるようで、事件関係者の同類の女性に惹かれていたから、その女性とどうにかなっていたら面白かったかも。ネタバレになるけど、多重人格とか興味深い内容を扱っていて、精神科医のキャラクターも出てくるのに、それがあまり活かされていなくてもったいない。結末も中途半端で、エェ~ここで終わり?という感じで締め括りがイマイチ。中盤はあまり捜査に進展がなく冗長だったのに、最後は駆け足で無理やり終わらせたみたいで納得がいかないわ。
ちなみにこのシリーズは5作目まで書かれているけど、英語版が出ているのは2作目までなので続きが翻訳されることはなさそう。(ドイツ語版は出ているので、それを訳すという手はあるけど。)ノルウェーの一番人気の作家と言えばジョー・ネスボで、私も数冊読んだことがあるけど、ガード・スヴェンはネスボには及ばない印象。北欧ミステリーはやはりスウェーデンのほうが良い作家がたくさんいて面白いわね。
この作品はkindle unlimitedに入っていました