ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

すべての見えない光 アンソニー・ドーア

All the Light We Cannot See: The Breathtaking World Wide Bestseller (English Edition)

All the Light We Cannot See

  • Doerr, Anthony
  • Fourth Estate

文庫版が11/21発売予定 すべての見えない光 (ハヤカワepi文庫)

 

 これはピューリッツァー賞を取った超ベストセラー小説で、Netflixがドラマ化したというので興味が沸いて読んでみた。(→来月配信予定All the Light We Cannot See | Netflix

 確かにとても良い話だったけれど長かった~。第二次世界大戦中の、フランスの盲目の少女マリー・ロールとドイツの少年兵ヴェルナーの物語。2人のエピソードが交互に書かれている。それまで短編を書いていた作者が10年かけて書いた初の長編とのことで、短編が連なって長編になっているような印象を受けた。感動的な内容だけど割と淡々とした筆致で描かれていて、エンタメ小説というよりも文学的な作品だと思う。

 「視力を失った時や、父親を亡くした時、皆に勇敢だと言われたけれど、私は勇敢じゃない。ただ自分の人生を生きているだけ」というマリー・ロールのセリフ等、心に刺さるものがあったし、美しく繊細な文章からは格調の高さが感じられた。高い評価を受けているのも納得で、純文学好きな人が絶賛しそうな作品だけど、そこまで純文学好きでない人だとちょっと読むのが大変だと思うので、そういう人はドラマ化されたものを見るのが良いかと。私は本を読むのは苦にならないほうだけど、これは一気に読めるタイプの作品ではなく、他の小説と並行して少しずつ読んでやっと読み終わった。

 特に難解というわけではないけれど、ドラマティックに盛り上がるわかりやすいストーリーではなく、文学作品として文章を味わいながら読んで、静かな余韻を楽しむような小説だと思う。戦時下の話でも、クリスティン・ハナの「ナイチンゲール」とかケイト・クイン、古いところではケン・フォレットなんかのほうがエンタメ性が高くて読みやすいと思う。

 

 

映像化作品つながりで・・ 先日prime videoで見たこの映画がとても良かった。

 スウェーデンの作家フレドリック・バックマンの小説を映画化したもの。ベストセラーを連発している人気作家で、そのうち読んでみようと思っているうちに映画の配信が始まったので見てみたら、本当に良い話で泣いたわ~。オットーのひねくれた爺さんぶりに笑わせられ、彼の歩んできた人生を知って泣かされ、隣人との心温まるエピソードにほっこりさせられた。トム・ハンクスの演技も良かったし、これはおすすめ。ハリウッド映画だから舞台がアメリカになっているので、スウェーデンが舞台の原作小説とは内容を色々変えているんだと思う。スウェーデンでも映画化されているので、見比べてみるのもいいかも

幸せなひとりぼっち(字幕版)

幸せなひとりぼっち(字幕版)

  • ロルフ・ラスゴード

小説はこちら

A Man Called Ove: A Novel

A Man Called Ove: A Novel

  • Backman, Fredrik
  • Washington Square Press

 

 

そしてつまらなかった映画はこちら

 M・ナイト・シャマラン監督作だから面白いかと思ったら、わけのわからない話でちっとも面白くなかった。ハァ?何でそうなるの??というストーリーで、ツッコミどころ満載だった。この監督の映画は昔から結構当たり外れがあるけど、今回はハズレだったわ。「オールド」のほうがずっと面白かった。原作は人気ホラー作家ポール・トレンブレイの小説。↓

The Cabin at the End of the World

The Cabin at the End of the World

  • Tremblay, Paul
  • Titan Publ. Group Ltd.

 P・トレンブレイは、以前アンソロジーに入っていた短編を読んだことがあるけど、それはまあまあ面白かったので、そこそこ上手い作家だと思う。ちなみにこの作家の"A Head Full of Ghosts"も映画化の話が一応あるみたい。

 

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