悪くはなかったけど前作のほうが良かったな。前作は、殺し屋と間違えられたヒロインが思いがけず事件に巻き込まれ、とんでもない状況に陥って右往左往するのが面白かったけど、本作では、自分から事件に首を突っこんで自主的に捜査しているので、巻き込まれ型サスペンスの面白味がやや薄れているように感じた。
ロマンスの面では、育児でくたびれたシングルマザーのヒロインがどういうわけか男性にモテモテだったりするのはお決まりのパターンなので、ヒロインモテすぎ~と面白がっていたけれど、この状況が2作目も相変わらず続いていると何だかイマイチ。三角関係というのは、ヒロインがどちらとくっつくんだろうと読者がヤキモキするのが面白いのに、ロースクールの学生とさっさとベッドインしておきながらイケメン刑事にヨロメいているこのヒロインはちょっと節操がないように思えるわ。ヒロインに惚れているとは言え、どう見ても怪しい彼女の行動を容認して見逃しているのは、刑事としてはどうかと思うし、ヒロインのほうも、警察に知られたらマズいかなりヤバいことをしているのに刑事と仲良くしていたらダメでしょう。あとがきの解説の人がこのシリーズとJ・イヴァノヴィッチのステファニー・プラムのシリーズとの共通点を挙げていたけど、比べると、この作家はロマンスの描き方はあまり上手くないと思う。イヴァノヴィッチは昔ロマンス小説を書いていただけあって、ヒロインを巡る三角関係をとても上手く書いていて本当に面白かった。
色々と文句を書いたけれど、自分が2作目でこの作家の作風に若干飽きてしまったというだけで、作品のクオリティ自体が下がったわけではなく、1作目が気に入った人なら本作も十分楽しめると思う。元夫の殺害を阻止するストーリーは意外性があり良かった。