ロマンス小説感想日記

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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

蜘蛛の巣の罠 ラーシュ・ケプレル

蜘蛛の巣の罠 (上) (海外文庫)

蜘蛛の巣の罠 (上) (扶桑社ミステリー)

  • ラーシュ・ケプレル
  • 扶桑社
蜘蛛の巣の罠 (下) (海外文庫)

蜘蛛の巣の罠 (下) (扶桑社ミステリー)

  • ラーシュ・ケプレル
  • 扶桑社

 

 このシリーズの感想はいつも同じようなことを書いている気がするけど、この最新作もとんでもなくグロい話だった。被害者を銃で撃って動けなくし、まだ息があるうちに高濃度のアルカリに漬けて溶かすという、想像するのも嫌なくらい恐ろしい連続殺人犯の犯行が生々しく描写されているので、グロ耐性のない人にはあまりおススメできないけれど、ストーリーは最高に面白く上下巻で800頁の長編でも全く長さを感じなかった。

 本作は女性刑事のサーガ・バウエルが主役と言っても良いストーリーで、サーガは北欧ミステリーの女性キャラクターでは、ミレニアムのリスベットを超えるくらい気に入っているので、彼女の活躍を読めて大満足。ヨーナ・リンナよりもサーガがメインの話のほうが面白いと思うのは私だけかしら。ユレックとの対決で精神的なダメージを負い警察で働けなくなった彼女の元にユレックと関連があると思われる連続殺人犯からの犯行予告のような小包が届き、一時的に国家警察の捜査班に加わることに。必死で犯人を突き止めようとするけれど、犯行を阻止できず次々と人が殺されていき・・。後半はまさかの事態に驚愕!スウェーデンの国家警察が酷すぎて、こんなことが許されるのかと憤ってしまったけど、ピンチに陥ったサーガを応援せずにいられない。敵は恐ろしく狡猾な上に人間離れした強さでホラー映画の殺人鬼のように次々と犯行を繰り返していて、ミステリーというよりアメコミのようなノリになっていたけど、面白すぎて細かいことは気にならない。怒涛の展開で最後まで気が抜けず、ハラハラドキドキのストーリーだった。

 ちなみにこのシリーズは順番どおりに読まないと話の流れが掴めないと思うので、これから読もうという方は(早川書房が出した1~3作目はもう絶版になっているので)4作目の「砂男」からどうぞ。作者が冒頭に書いているように、この「蜘蛛の巣の罠」のストーリーには「砂男」と「墓から蘇った男」のネタバレが含まれているので。

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