ニュージーランドの女性作家のデビュー作。殺人事件の被害者の人生に焦点を当てた内容は悪くはないけど、とりとめのない文章で、同じ所をぐるぐる回りながらのろのろと進んでいくようなストーリーが自分の好みではなかった。ミステリーというよりもフェミニズムがテーマの小説だと思う。
殺された18歳のアリスの不憫な生い立ちは悲しく、若い彼女を手懐け性的に利用していた年上の男性との不適切な関係から逃げ出し、ニューヨークにやってきて親切な老紳士に助けられ、人生が良い方向に向かってきた矢先に命を奪われてしまった彼女が気の毒でならなかった。一方、死体の発見者であるルビーのほうは、元カレのことをウジウジと悩み続けていてあまり魅力的なキャラクターとは言えず、彼女の憂鬱な思考がくどくてうんざりさせられた。彼女が参加した「デス・クラブ」はいかにもアメリカ的な自助グループで興味深いのだけれど、そこで何か重大なことが起きるわけでもなくつまらない。全体的にあまりストーリーが練られておらず散漫な印象を受けた。殺された女性の視点で書かれているというのはユニークだと思うけど、あまりにも展開がスローでげんなりしてしまう残念な作品だった。