ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

危うい愛に囚われて ジェイ・クラウンオーヴァー

 ヒーローがテロリストの息子!!というすごい設定のロマンスだけど、彼がアメリカにやって来て、ストリップクラブの経営やら裏の世界で成功してからの話なので、テロについては、プロローグで触れているだけだった。それでも異色のロマンスというには十分だけど・・。最近はこういうダークなロマンスも増えてきて、主人公の職業も多種多様になってきたわね。記憶に新しいところでは「危険な愛に煽られて」(似たようなタイトルだな・・) のヒーローがマフィアの息子だったけど、まあ、マフィアのヒーローが清純なヒロインに惹かれるという話は昔から結構あったかも。他には「危険な夜のキャスティング」のヒーローが覆面のポルノ男優で、ヒロインが元娼婦というのがかなり衝撃的だった。こういうキワモノ的なロマンスも翻訳されるようになってバリエーションが豊富になってきたのは良いことよね。

 ヒーローが元テロリストなら、ヒロインは元ストリッパー。これまでにもそういう業界で働いてるヒロインの話は読んだことあるけど、強いられて嫌々やらされている気の毒な女性という被害者的な立場がほとんどだったのに対し、このヒロインは自らストリッパーという職業を選んでいて、そのことを恥じることなく堂々としているのが印象的だった。これほど重い過去を背負い、いかがわしい商売に手を染め裏の世界に君臨するヒーローには、肝の据わった強いヒロインでないとダメってことね。ヒーローは商売柄、危険な敵が大勢いるので、しょっちゅう揉め事に巻き込まれ、命を狙われることも度々あるから、普通の女性じゃついていけないわよね。とにかくお似合いの二人で、愛されることなく生きてきた孤独なふたりが、ついに愛を見つけたからには結びつきは強烈で、このダークな設定ならではの激しい恋愛だった。暴力的で悪事もはたらくヒーローと、はすっぱとも言えるヒロインだけど、2人の関係はすごく一途で、読者に訴えるものがあったと思う。こういう堅気でない職業の人たちの話だと素直に共感しづらい部分もあるけれど、ロマンスは熱烈だし、重い設定にもかかわらずストーリーはそれほど暗くなくユーモアも感じられ、読後感は爽やかと言っても良いくらいだった。次作も面白そうなので読みたいけれど、この出版社は最近シリーズの1作目だけ出して続きが出ないパターンが多いからどうかな。 

危うい愛に囚われて (ザ・ミステリ・コレクション)

危うい愛に囚われて (ザ・ミステリ・コレクション)

  • 作者: ジェイクラウンオーヴァー,Jay Crownover,相野みちる
  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 2019/04/22
  • メディア: 文庫
Honor: The Breaking Point

Honor: The Breaking Point

  • 作者: Jay Crownover
  • 出版社/メーカー: William Morrow Paperbacks
  • 発売日: 2016/10/18
  • メディア: Kindle

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