ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

運命の愛 マヤ・バンクス

 KGIシリーズ7作目。このシリーズは最初の2冊しか読んでいなかったけど、たまたま古本を入手したので読んでみた。3~6作目はすっとばして本作を読んだけど、前作のヒロインが酷い目に遭ったという話が度々出てきたので、1つ前のを読んでからのほうが良かったかも。このシリーズ、1作目は結構痛々しい話だったような覚えがあるけど、これはそれほど残酷なところもなく、ヒロインの妊娠騒動が主なネタの、ロマサスにしてはまったりした話だった。以下ネタバレあるかも。

 最初の1/4くらいはほぼ主役カップルのイチャイチャぶりで占められていて、後に出来ちゃった婚をする原因となるあれやこれやが、この作者らしく濃い描写で書かれている。次の1/4がヒロインが誘拐されるサスペンスだけど、悪人に攫われた割にはやけに好待遇でヌルい気がした。そもそもこの悪役がヒロインにそこまで固執する理由がよくわからない。そして次の1/4は、ヒロイン救出後の仲間内の和気あいあいなパーティーやら、チームの絆についての熱い思い、無口なヒーローが何故か雄弁にヒロインへの気持ちを語りだし、愛を告白してメロメロぶりを発揮したりというロマンティックだけど緊張感のない場面が続く。個人的にはこのあたりの描写が感傷的すぎてちょっとくどいかな。氷の男と言われている冷徹でぶっきらぼうなヒーローがどんだけ喋るのかと。そして最後の1/4がまたサスペンスで、再度ヒロインが攫われて、アクションシーンで盛り上がる。あくまでもメインはロマンスで、それを盛り上げるためにヒロインの誘拐のエピソードが入っているという感じ。要は出来ちゃった婚の話なので結婚式から出産まできっちり書かれていて、ほのぼのした読後感。

 これは、サスペンスだと思って読むと肩透かしだけど、感情とは無縁の孤独を愛するヒーローがヒロインと出会い、超家庭的なマメ男に変貌する衝撃の(?)ロマンスだと思って読めばなかなか楽しめる作品だと思う。

運命の愛 (マグノリアロマンス)

運命の愛 (マグノリアロマンス)

Forged in Steele (KGI series Book 7) (English Edition)

Forged in Steele (KGI series Book 7) (English Edition)

  • 作者: Maya Banks
  • 出版社/メーカー: Berkley
  • 発売日: 2013/06/25

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