ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

荒野の果てまで連れ去って キャシー・マクスウェル

 2012年刊行。この作者も1作だけ翻訳されて消えた作家なので、あまり期待せずに読んだけど、そこそこ面白かった。

 ストーリーはなかなか波乱万丈で、オールドミスのヒロインは、結婚してくれると思っていた幼馴染の男性が別の女性と婚約してしまい、父親に13人の子持ちの太った中年貴族との縁談を勧められ、崖っぷちな状況。ヒーローは、スペイン人の貴族の庶子で、容姿端麗で女性にはモテるけど一文無し。既婚女性に言い寄られて困っていたけど、彼女の夫から、英国の北の果てにある地所をやるから、ロンドンから出て行って今後彼女と関わるなと言われ、その地所に行き、馬の繁殖で一旗あげようとするけれど、お金がないため、祖母の遺産の相続人だと言うヒロインに求婚する。ヒロインも、お金目当ての求婚だと承知しているけれど、13人の子持ちの貴族と結婚するよりマシだと思い、ヒーローと駆け落ちすることに。

 2人とも割と切羽詰まった状況で突発的に結婚を決めて、急遽駆け落ちしたけれど、怒ったヒロインの父が追いかけて来たり、実はヒロインのお金は3年後まで受け取れないと判明して金欠になったり、地所に行ったところ、想像以上に荒れ果てていて酷い状態だったりして災難続き。リージェンシーでこういう苦労話は珍しいわね。ロマンス小説では、結婚して貧乏で苦労するってことはあまりないから逆に新鮮だった。一難去ってまた一難という感じで退屈しないけど、苦労が多めなぶん、ロマンスに関してはちょっとトキメキが薄いかもね。2人とも割と実際的な性格だから、前半の駆け落ちして結婚するまでの騒動は面白いけどそれほどロマンティックな感じではなかった。それでも、ヒーローはお金のために求婚したとはいえ、最初からヒロインに魅力を感じていたし、ヒロインもヒーローと苦労を共にするうちにだんだん惹かれていって、結婚してからは、ロマンス小説らしい展開だったと思う。ヒロインが結婚するつもりだった幼馴染の男性が現われてヒーローが嫉妬するのは、よくある展開とはいえ面白かった。一文無しだったわりにはトントン拍子にうまく行って、出来過ぎな感じはしたけど、全体的には良い話で、短くまとまっていて読みやすかった。

荒野の果てまで連れ去って (ラズベリーブックス)

荒野の果てまで連れ去って (ラズベリーブックス)

  • 作者: キャシー・マクスウェル,桐谷知未
  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 2012/06/08
  • メディア: 文庫
His Christmas Pleasure (Scandals and Seductions Book 4) (English Edition)

His Christmas Pleasure (Scandals and Seductions Book 4) (English Edition)

  • 作者: Cathy Maxwell
  • 出版社/メーカー: HarperCollins e-books
  • 発売日: 2010/11/30
  • メディア: Kindle

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