ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

ありのままの自分で ジュリアン・ドナルドソン

 作者のHPには、A proper romance. Jane Austen approved. と書いてあって、まさしくそんな感じの素敵なロマンスだった。ヒロインの一人称で書かれていて、若い女の子が恋に落ちたときの心情が繊細に描写されているのでYA小説のような雰囲気がある。

 美しい双子の姉と比べて地味なヒロインが、姉が結婚相手にと狙いを定めている男性に恋してしまう。ヒーローは裕福で爵位もあるハンサムな男性で、財産目当てに寄って来る若い女性にうんざりしていたけど、ヒロインに出会い、その愛らしさにすぐに恋に落ちる。周りの人には2人が相思相愛だということはバレバレなのに、本人同士はお互いに相手の気持ちがわからず悩んでいるのがカワイイ。姉のためにヒーローと距離をおこうとするけれど、彼が恋しくて辛く、一人で涙ぐむヒロインに思わず感情移入してしまった。切ないわ~。ヒーローは、ヒロインのことが大好きだけど家の客として来ている彼女を保護する役目を担っているからには、むやみに言い寄ることも出来ず友達として付き合っている。それでも彼女をからかう言葉の端々に愛が感じられて素敵。彼女に恋文の書き方を教えてあげるために実際に手紙を書いて見せるけれど、それは実は彼女に自分の気持ちをわかってもらいたくて書いた本当のラブレターだったりするのが胸キュンだわ。もちろんヒロインのほうは、自分に向けた手紙だなんて夢にも思わないわけで、このすれ違いがたまらない!

 最後のほうは、ヒロインが財産目当ての男に攫われたりする波乱の展開もあって楽しかった。こういう繊細で初々しいヒストリカル・ロマンスはなかなかないので貴重な作家さんだと思う。でも2作目の「籠の中の鳥のように」以降は、執筆していないみたいで残念。 

ありのままの自分で (マグノリアロマンス)

ありのままの自分で (マグノリアロマンス)

  • 作者: ジュリアン・ドナルドソン,草鹿佐恵子
  • 出版社/メーカー: オークラ出版
  • 発売日: 2014/09/09
  • メディア: 文庫
Edenbrooke: A Proper Romance (English Edition)

Edenbrooke: A Proper Romance (English Edition)

  • 作者: Julianne Donaldson
  • 出版社/メーカー: Shadow Mountain
  • 発売日: 2012/03/26
  • メディア: Kindle

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