ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

禁断のキスを重ねて ジル・ソレンソン

 この作者は本国ではそこまで人気作家ではないようだけど、これはロマンスもサスペンスも手堅く面白い、期待を上回る作品だった。ヒーローは警官だけど、まだ下っ端の巡査で、出世を目指して真面目に仕事に取り組んでいる普通っぽいところがリアリティがあって良い。帯の宣伝文句に「大金持ちでもアルファメールでもないありのままのヒーロー」とか書いてあるけど、確かにあまりにも完璧なヒーローよりも、隣のお兄さん的なキャラクターのヒーローが悩んでしくじりながら頑張る話のほうが人間味を感じられると思う。(でも警官という時点でアルファメールの要素はあるし、ハンサムでベッドでも良くて、なかなかの男性じゃないかという気はするが・・。)ヒロインは貧しい生まれのヒスパニックのシングルマザーで、バーのウエイトレスをしながら娘を育てている。暴力的な元恋人(娘の父親)がギャングのメンバーで現在服役中という困難な身の上で警官のヒーローと恋に落ちる。ヒーローが割と普通かと思えばヒロインが問題だらけ。やっぱりロマンスは一筋縄ではいかないけど、そこがいいのよね。警官がギャングと関わりのある女性とつきあうなんていけないことだと悩みながらも、ヒロインから離れられないヒーローが良かった。ギャングがはびこるスラム街が舞台のストーリーで、華やかさはないけど現実味があり、キャラクターもリアルで良かったと思う。

 そして主役の2人だけでなく、もう一組、ヒーローの大学生の妹とギャングのメンバーの若い男性とのロマンスも書かれていて、そちらも主役カップルと同じくらい興味深く、若い二人の禁断の恋がどうなるのかハラハラしながら読んだ。まさに一粒で二度美味しい作品で、メインのロマンスに、サブカップルのロマンス、その両方に連続殺人のサスペンスがうまく絡んでいて、なかなか良く出来たストーリーだった。地味ながら良作で、これからもこういう作品を出してもらいたいわね。サブカップルのロマンスが中途半端な感じで終わってしまったのだけが残念だったけど、調べてみたらどうやらこの2人が主役の“Against the Wall”という作品があるようで気になるわ。

禁断のキスを重ねて (ザ・ミステリ・コレクション)

禁断のキスを重ねて (ザ・ミステリ・コレクション)

  • 作者: ジルソレンソン,Jill Sorenson,幡美紀子
  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 2019/10/21
  • メディア: 文庫
The Edge of Night: A Novel (English Edition)

The Edge of Night: A Novel (English Edition)

  • 作者: Jill Sorenson
  • 出版社/メーカー: Bantam
  • 発売日: 2011/04/05
  • メディア: Kindle

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