ロマンス小説感想日記

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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

愛が燃えつきるまで ビバリー・バートン

 ハーレクインの人気作家、ビバリー・バートン。これは新書だけど430頁くらいあるかなりの長編。(こういうのは文庫で出したほうが売れると思うんだけど・・)シリーズものが多い作者にしては珍しい単独作で、原書が2002年、翻訳が2008年刊行の古い作品だけど、割と面白かったので感想を。

 南部の名門金持ち一族の殺人事件がテーマで、関係者がわんさか出てきて登場人物多めにもかかわらず混乱することなく読める。むしろ、このキャラクターてんこ盛りが面白い。過去の事件の真相を探るストーリーで、事件に関わる人たちの人間模様やロマンス、おまけにラブシーンも出血大サービス!の盛沢山なストーリー。(ヒーローの妹が初めての恋人との関係に溺れるのは良いとして、ヒロインの60代の叔母まで。そんな年配カップルのラブシーンは読みたくないよ・・。)

 ヒロインは、14歳の時に家で叔母と母親と使用人が殺される事件が起き、結局その使用人が犯人だと断定されたけれど、それは冤罪だとずっと思っていた。事件から14年がたち、父親が亡くなり葬儀で実家に帰って来たヒロインは、過去の事件の真相を探ろうとする。ヒーローは、ヒロインの父親の再婚相手の連れ子。家族間の確執が色々あって、2人はお互い憎み合っている。最初はかなり険悪な仲だったにもかかわらず、ヒロインが殺されそうになったところをヒーローが助けてからは協力するように。登場人物が多いぶん、主役2人のキャラクターの掘り下げ方がやや足りず、心理的な面が説明不足な気はしたけど、2人が惹かれあう吸引力は凄かった。最初は嫌っていたくせに開き直ってヒロインに執着するヒーローが笑える。どちらかというと欲望先行で、うっとりするような甘さはないけれど、一触即発の緊張感あるロマンスが良かった。

 過去が掘り起こされ醜悪な事実が明らかになっていくサスペンスはインパクトがあって面白かったし、脇役もアクの強いキャラクター揃いで一族の人間ドラマも興味深く、これだけの内容をまとめ上げて長さを感じさせないのはすごい。そういえば、昔読んだ「星降る夜に、だれかが」もこんな感じの盛沢山なストーリーだった気がする。こういうのがこの作者のスタイルなのかな?他は読んでないからわからないけど。

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