ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

歪められた旋律 ジェニファー・ヒリアー

 面白かったけど、ツッコミどころの多い作品だったな。これはミステリーだからネタバレしたくないけど、内容に踏み込まずに感想を書くのは難しいかも。核心に触れる部分は書かないように気を付けますが、これから読むつもりの方はご注意を。

 ジェフリー・ディーヴァーが絶賛したサイコ・スリラーとのことで、凄惨なサスペンスを予想して身構えていたけど、読んでみるとそうでもなかった。大学教授のヒロインは、恋人と婚約したので情事相手である助手の院生との関係を清算しようとする。婚約者がいるのに情事?!と思うけど、実は彼女はセックス依存症だったという・・。そして突然別れを告げられた助手がキレて、彼女を脅迫し始める。この助手の青年が実はサイコパスで・・というストーリー。ヒロインが殺人者に命を狙われる恐怖を描いたサスペンスなのかと思いきや、この助手がサイコパスの割にあまり猟奇的な感じがせず、むしろ意外と人間味があってあまり怖くない。彼女にとっては、ひた隠しにしてきたセックス依存症がバレることが一番の恐怖で、依存症患者の心理が興味深かった。

 ヒロインの婚約者は銀行家の男性で、アルコール依存症だったけれど彼女のお陰で更生し、励ましてくれた彼女を愛するようになってプロポーズしたけれど、その時には彼女の依存症について知らなかった。(彼は、後半には失踪した彼女を探すために奔走して大活躍するからヒーローと言っていいと思うので、ヒロインの婚約者=ヒーローということにしておく。)サスペンスでもあり、依存症を抱える人の悩みを描いたドラマでもあり、珍しいストーリーだと思う。ヒロインを身持ちの堅い古風な女性だと思い込んでいたヒーローが、彼女に突然婚前交渉を迫られいざ事に及ぼうとしたら、彼女があまりにも手馴れて積極的なのに驚いて萎えてしまったりとか、真面目なエピソードなんだろうけど笑ってしまったわ。その後、彼女が自分の依存症を告白してヒーローは大ショック。前半はサスペンスの合間に悩める依存症カップルの小競り合いがあり、あまりサイコ・スリラーという感じがしなかった。セックス依存症のヒロインと肥満体のオジサンヒーローの話なので全然ロマンティックではないけれど、問題山積の2人が結婚まで辿り着けるのかが気になって面白かった。

 後半はヒロインが攫われて監禁され、サスペンスが佳境に入ってくるけど、囚われたヒロインの恐怖よりも、失踪した彼女を見つけるために私立探偵を雇って捜索するヒーローの奮闘のほうが印象深くて、恐怖を煽って盛り上げるという感じではなかったように思う。ヒロインとサイコパスの助手とのやり取りには笑えることすらあった。終盤には結構などんでん返しがあって驚かされたし、予想と違ってゾッとするようなサイコ・スリラーではなかったけど、怖くないのに面白い、一風変わったミステリーだった。

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