ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

姉の歌声を探して リサ・ジュエル

 リサ・ジュエルは最近ミステリーのジャンルでかなり売れているイギリスの作家だけど、昔はchick lit/women's fictionを書いていて1冊だけ翻訳が出ている。原書の情報をチェックしていて興味を持った作家の1人だったので、10月に二見文庫から新作が出ることを知って嬉しい驚きだった。二見文庫はアメリカ人作家のロマサスが多いから、イギリス人作家のミステリーを出すなんて意外だな。ちなみにリサ・ジュエル以外では、Shari Lapena, Tarryn Fisher, Greer Hendricks あたりがまだ翻訳が出てないけど面白そうで、そのうちどこかの出版社が出すんじゃないかと思っている。

  前置きが長くなってしまったけど、この作品は2004年に刊行されたリサ・ジュエルの初期作。ちょっと前に読んだけど感想を書いてなかったから、新作発売記念(まだ少し先だけど)で記事にしてみた。チックリットのカテゴリーに入る作品だけど、ブリジットジョーンズやお買い物日記シリーズみたいなのより内容が深くて良い話だった。

 ヒロインには父親違いの姉がいる。地味なヒロインと違い美人な姉は、若い時に家を出て歌手になった。それ以来ずっと疎遠になっていたけど、ある日、姉が自宅のアパートでクスリの過剰摂取で死亡したと伝えられ、ロンドンに行って遺品を整理することになる。姉妹の母親は元女優で美人だけど性格の破綻した典型的な毒母で、母親に虐げられてきたヒロインは臆病でずっと自分に自信が持てず、25歳になってもまだ母親に支配されている。田舎から出たことがなかったヒロインがロンドンに行き、パーティーガールだと思っていた姉の苦悩を知り、多くの人と出会って自分の殻を破り成長するというストーリー。劣等感が強く自己評価の低かったヒロインが、自分に自信が持てるようになり、ハンサムな恋人もできて、勇気を奮って母親に立ち向かうようになる。ヒロインは、姉は妹の私のことなんて気にかけていないと思っていたけど、本当は妹のことをずっと大切に思っていて、幼い妹がくれたぬいぐるみを後生大事に持っていたというのが泣ける。歌手になったけど一発屋で終わってしまい、孤独で不幸だった姉の人生を目の当たりにしたヒロインのやるせない思いに胸がジーンとした。姉の親友の女性は強烈な個性の持ち主で変わってるけど優しくて良い人だったし、ヒロインの恋人になる男性も包容力のある魅力的な人でロマンスも良かった。古い作品だけど、笑って泣けて読んだ後じんわり心が温まるような素敵なストーリーだった。

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