ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

世界の終わり、愛のはじまり コリーン・フーヴァー

 コリーン・フーヴァーの新作!発売されるのをすごく楽しみにしていたので、寝る間も惜しんで貪るように読んでしまった。期待以上の出来で、ロマンス小説でこれほど読者を引き込み、のめり込ませるストーリーはなかなかないと思う。読み始めたら他のことが手につかなくなってしまう恐れのある危険な作品だわ(笑)。

 ヒロインは幼い頃から父親が母親を虐待するのを見て育ち、自分は決して母親のようにはならないと心に決めていた。そしてハンサムな外科医のヒーローと出会い恋に落ちる。女性と真剣に付き合ったことがなく結婚願望もないと公言していた彼がヒロインに夢中になり、真剣に愛するようになる過程はとてもロマンティックで素敵だった。幸せ一杯のはずだったけれど、喧嘩をした時に突き飛ばされて怪我をさせられ、彼に暴力的な一面があることがわかる。それでも彼を信じて結婚したけれど、子供の頃に悲劇的な経験をしたヒーローは怒りのコントロールに問題を抱えていた。愛する女性を傷つけてしまうヒーローの苦しみと、逃げ出すべきだとわかっていても、愛する彼の元を離れられないヒロインの葛藤がものすごくリアルに描かれていて、読んでいて胸が締め付けられる。ロマンティックな愛のセリフならこれまでに色々読んできたけど、この作品の「愛してる」は重みが違う。これほど苦しい愛もあるのかと考えさせられる。

 少女の頃のホームレスの少年との初恋のエピソードがまたほろ苦くて切ない。若い二人の純粋でひたむきな愛と、胸が張り裂ける辛い別れは涙なくしては読めない。この特別で運命的な初恋が彼女の人生に大きな影響を及ぼしていて、素敵な大人の女性に成長したヒロインの中に、傷つきやすい少女の姿が垣間見られ、その奥深いキャラクターがストーリーに説得力を与えている。虐待という難しいテーマを扱いながら、ゴージャスな男性とのドキドキするような出会いや恋に落ちるときめき、少女の頃の一途な初恋をロマンティックに描いていて、愛の辛さや苦しみだけではなく、恋愛の素晴らしさも伝わるストーリーになっているところが流石。最終的にヒロインが下した決断で、タイトルの It ends with us が言わんとすることがわかる。その意味は予想と少し違っていて、とても巧妙なタイトルだなと思った。そのことで評価がより高まったと思う。この作品によって、ロマンス小説の基準が一段高いところに引き上げられた気がする。このレベルの作品を読んでしまうと並みのロマンスでは満足できなくなりそうだわ。コリーン・フーヴァー恐るべし。

 

あとは余談ですが・・・

 ワンジーを着てみんなでパブに行くというシーンがあったけれど、ワンジーって何なのかわからなくて画像検索してしまった。つなぎの服のことなのね。注釈でもつけてくれたらわかりやすかったのに。でもそれは私がファッションに疎すぎるせいかも。

 エレン・デジェネレスがヒロインの憧れのタレントということだったけれど、中高生の女の子が彼女のトークショーを熱心に視聴しているというのが意外だった。確か平日の昼間に放送してたと思うし、オバサンが見る番組だと思ってたわ。作中、ディズニー映画の「ファインディング・ニモ」でエレンが声優を務めたドリーのセリフが引用されていたのが絶妙だった。あの「泳ぎ続けて」というセリフはストーリーにピッタリ合った名言でグッときた。作者のセンスに脱帽。

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