ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

さまよう記憶 サンドラ・ブラウン

 サンドラ・ブラウンは、ここ数年、集英社がいつも年末頃に新作を出していたけど、今年は出ないみたい。自分はずっと昔、まだロマサスという言葉も一般的じゃなかった頃、新潮社が出していたのをたまに読んでいたので、この作者とは長い付き合いだな。当時メアリ・H・クラークが割と好きだったので新潮つながりでS・ブラウンを知ったのよね。ロマンス小説にハマってから、改めてロマサスの先駆的な作家として認識し、また時々読むようになった。

 これは数年前に刊行されたものだけど、最近の作品の中では評価の高い人気作なのかな?(amazon.comでもgoodreadsでもこのタイトルの評価の件数がやけに多いので。)正体不明の危険なヒーローに惹かれるヒロインという、前に読んだことあるようなおなじみのシチュエーションで、危険な男を描かせたら抜群に上手いサンドラ・ブラウンお得意のパターン。ロマンスは惹かれあう二人の間の雰囲気が良い意味でねちっこく、さりげなく卑猥さを漂わせているのがこの作者らしくて面白かったけど、サスペンスは意外性を狙いすぎというか・・。

以下ネタばれになるので畳んでおきます。

 

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 ヒーローの正体には確かに唖然とさせられたけど、こんなのってあり??あまりにも不自然でちょっと納得いかないなあ。ロマサスなのでヒーローが犯罪者ってことはないだろうと思っていたけど、そんな理由で逃亡生活を送っているなんて変だよ・・。医師のヒロインが襲われたのも、医薬品の承認がどうのと言ってたから、その線で何か壮大なサスペンスがあるのかと思ったら、意外と単純な痴情のもつれだったし、最後のどんでん返しも、この作者のことだから真犯人は別の人じゃないかと思いながら読んでいたので、あまり驚きはなかった。まあ、それでも十分面白かったけどね。

 この訳者さんはロマンス小説をたくさん手掛けているベテランの人だから言葉の選び方とかはすごく上手くて感心するけど、ヒーローがかなり荒っぽい雰囲気になってる気がする。サンドラ・ブラウンはこれまで色んな人が訳したのを読んだけど、この林啓恵さんが一番個性が強くて作品全体がこの訳者さんの色に染まってる感じがする。それが悪いというわけじゃなく、恐らくそうやって自分の個性を出せるのが上手い訳者なんだろうね。

 

さまよう記憶 (集英社文庫)

さまよう記憶 (集英社文庫)

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