ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

黒い睡蓮 ミシェル・ビュッシ

 ミシェル・ビュッシはフランスのベストセラー作家で本国ではかなり人気があるらしい。これはモネが「睡蓮」の絵を描いたことで有名なフランスの田舎町で起きた殺人事件を新任の若い警察署長が捜査するミステリー。以下の感想は間接的なネタバレかもしれないのでご注意を。

 最初はイマイチ話に入り込めなくて、これはハズレだったかなあと思いながら読んでいた。浮気者で愛人がいっぱいいた医師の男性が殺される事件が起きるのだけど、警察の捜査はのらりくらりとしていてなかなか進まず、事件を担当している警官たちもやけに呑気だし、しかも警部は事件の関係者の美人女性教師に夢中になっている。(人妻なのに!)

 私はモネについては花の絵を描いてた人、くらいの知識しかなくて美術関係には疎いけど、絵画に詳しい人ならモネに関するネタが色々出てきて楽しめると思う。肝心のミステリーはなかなか進展しないので少々退屈に感じつつも、すごいトリックがある作品らしいので結末を知りたくて読んでいたら、確かに衝撃のどんでん返しが!なかなかの叙述トリックですっかり騙されていた!そしてトリックに驚くとともに、判明した事実があまりにも悲しすぎて泣いた。これは不幸な人生を送った女性の悲しい物語でもあり、そう思って振り返るとそれまで読んだ部分が違った意味を持つようになり感慨深いものがあった。そして暗い人生の最後に一筋の光が差しこんだようなラストが秀逸だった。

 衝撃の瞬間に辿り着くまでがやや冗長に感じたけれど、このどんでん返しは読む価値があると思う。この不幸な女性の物語に「マディソン郡の橋」的なものを感じて泣いた私はロマンス小説の読みすぎだろうか。ミステリーとしては賛否両論ありそうだけど、読んで良かったと思える作品だった。

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