ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

明日のあなたも愛してる ケイシー・マクイストン

 デビュー作の「赤と白とロイヤルブルー」が大ヒットして、この作者は次はどんな話を書くんだろうと思っていたけど、レズビアンのタイムトラベル・ロマンスとは、前作と趣向を変えてきたわね。

 これは主人公だけでなく脇役もみんなクィアな人たちばかりで、ものすごくLGBTQな小説だった。その界隈の人達独特のカルチャーが描かれていて、ドラァグクイーンのことなんかもわかって興味深かった。80年代頃の洋楽のタイトルがやたらと出てくるので懐かしいなあと思いながら読んでいたけど、若い人にはどうかしら。主人公の好きな映画も80年代の「セイ・エニシング」だし、どちらかというと若い人よりオバサンのほうが楽しめるかも。こんな風に曲名やアーティスト名、映画やドラマのタイトルがポンポン出てくる作品は、そういったものがある程度わかる人のほうが楽しく読めるよね。ヒロインのオーガストが自分の状況を「ヴェロニカ・マーズ」や「ギルモア・ガールズ」に例えていたけど、元ネタを知っていればなるほどと思える。

 レズビアンのロマンスはこれまで読んだことがなかったけど、オーガストとジェーンが恋に落ちて悩んだり傷ついたりするところは、男女のロマンスと変わりなく共感できた。タイムトラベルとかSFっぽい内容も地下鉄が舞台になっているところが斬新で、(多少のツッコミどころはあるけど)面白かった。

 でも主人公の交友関係がほぼクィアな人達に限られていて、基本的に仲間内でワチャワチャしている話なので、彼ら独特のユーモア感覚にそこまで同調できなくて、話に入り込むのが難しい部分もあった。メインはロマンスとはいえ、LGBTQ集団のコメディのようなストーリーだから、そういうノリを楽しめないと680頁が長く感じられると思う。 

 

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