ロマンス小説感想日記

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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

ミレニアム6 死すべき女 ダヴィド・ラーゲルクランツ

 シリーズ最終作にしてはいまひとつだったなあ。

 ホームレスの男性の不審死が思いもよらない事件に繋がっていく流れは意外性に富んでいて、エベレストで実際に何が起きたのだろうと興味を掻き立てられたけど、敵の存在感が薄く、悪人に制裁を加えるという実感が沸かなくてやや盛り上がりに欠けるような。結局真相が暴かれたと言っても、ほとんど大臣が一人で全部告白したようなものだし(一人に全部喋らせちゃうのはこの作者の悪い癖ね。最初からそいつに話を聞けよと思ったわ。情報は地道な捜査で少しずつ突き止めていくものだと思うの。)犯人と対決して真実を突き付け、追い詰めたりすることもなくてあまり爽快感がなかった。設定は面白いのに惜しい。

 リスベットとカミラの対決に期待していたけれど、それも何だかあまり盛り上がらずに終わってしまって残念。カミラの部下のガリモフはなかなか存在感のあるキャラクターだったけど、結局彼女の指示に従っているだけだし、ザラチェンコとの因縁もあまり詳しく書かれていなくて中途半端な気がした。

 リスベットはコンピューターの達人というだけでなく、難解な数式を解いたり、今度はDNAの解析までしていて、どんだけ天才なのかと。ラーゲルクランツさんはリスベットを超人化しすぎじゃないかしら。ミカエルの女たらしは相変わらずで、今回恋人になった女性記者も束の間の関係で終わりそう。北欧のイケオジは永遠のプレイボーイなのね。

 調べてみたらミレニアムシリーズの次の三部作をKarin Smirnoffという女性作家が書くことになったそうで、スウェーデン語版が2022年11月、英語版が2023年の8月頃刊行予定。ドル箱(クローナ箱?)のシリーズだからそう簡単に終わらないわよね。ラーゲルクランツさんより面白いといいけど。

 

 

 

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