Slough Houseシリーズ3作目。「泥沼の家」の一員であるキャサリンが誘拐され、彼女を救出するため他のメンバーたちが奮闘するけれど、そこには罠が仕掛けられていて・・というストーリー。いつもながらMI5は身内同士が足を引っ張り合っている碌でもない組織だなあ。
このシリーズを読むのも3冊目なので、作者の手の内がなんとなく読めるようになってきたのか、前の2作ほどはストーリーに意外性が感じられなかったけど、キャラクターに愛着が湧いているので楽しく読めた。リーダーのジャクソンの不潔さは相変わらずで、靴下に穴があいていて丁度良いので定規で足の指の間を掻いているとか、思わずオェ~っとなってしまった。オジサンぽい不快な習性がいかにもという感じ。
ストーリーに関しては、事件の中心にいる元軍人のドノヴァンとその仲間の境遇をもっと詳しく書いてくれたら、より共感できたんじゃないかという気がする。今回の事件では鍵となるのはドノヴァンたちで、「泥沼の家」のメンバーは、たまたま巻き込まれてしまった部外者という感じなので、陰謀を暴く動機が弱いと思う。面白かったけど、そこまで「遅い馬」たちに肩入れしたくなる内容ではなかったように思う。
このシリーズ、翻訳は3作で終了っぽいけど、原書は順調に刊行されていて8作目が出たばかり。AppleTV+で配信中のドラマも好評のようで、シーズン4まで製作予定らしい。'Slow Horses' Renewed for Season 3 and Season 4 at Apple - Variety