ロマンス小説感想日記

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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

弁護士の血 スティーヴ・キャバナー

 

 序盤から主人公の弁護士エディがロシアンマフィアに拉致され、娘を人質に取ったから裁判所に爆弾を仕掛けて証人を吹っ飛ばせと脅されるという、リーアム・ニーソンのアクション映画か?!と思うような展開。エディは詐欺師から転身してロースクールに入り弁護士になったという変わり種だけど、前々から弁護士の仕事って半分ペテンのようなものだなと思っていたので、この経歴には合点がいった。証人を吹っ飛ばさなくても自分がうまく弁護して無罪にしてやるとマフィアを説得し、背中に爆弾を取り付けられて裁判に臨みながら娘の救出を企てるという無理ゲーをやってのけるアクションヒーローのような弁護士のトンデモ法廷サスペンスだけど、これはこれで面白かった。

 エディは元詐欺師なので裏の世界にも色々とツテがあり、物騒な稼業の人たちに娘の救出の協力を仰ぎ、スリや詐欺の技術を活かしてマフィアを出し抜こうとする。大事な娘を人質に取られて切羽詰まっていて、裁判所に軟禁されて寝不足でヨレヨレになりながらも戦うところが良かった。妻と娘を大切にしているけれど、凶悪犯を弁護した罪悪感からアル中になって私生活は散々とか、ありがちな設定だけど必死さが滲み出ていていかにも崖っぷち弁護士という感じのエディのキャラクターは悪くないと思う。

 これはEddie Flynnシリーズの1作目だけど続きは翻訳されてないのよね。普通シリーズものは1作目が一番注目されて徐々に尻すぼみになっていくものだけど、このシリーズはなぜか4作目の”Thirteen"が一番人気で評価が高く、この作家の代表作になっているという珍しいパターンなので、評判の良い4作目の翻訳を出してほしいなあ・・。

 Thirteen: The serial killer isn't on trial. He's on the jury (Eddie Flynn Series) (English Edition)

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