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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

鏡の男 ラーシュ・ケプレル

鏡の男 (上) (扶桑社BOOKSミステリー)

鏡の男 (上) (扶桑社BOOKSミステリー)

  • ラーシュ・ケプレル
  • 扶桑社
鏡の男 (下) (扶桑社BOOKSミステリー)

鏡の男 (下) (扶桑社BOOKSミステリー)

  • ラーシュ・ケプレル
  • 扶桑社

 

 ヨーナ・リンナ シリーズ8作目。凄惨な話が多い北欧ミステリーの中でもこの作家はとりわけグロくてほとんどホラー。それでも読み始めたら止まらないのよねぇ。

 これも若い女の子を狙った連続誘拐殺人事件の話で本当に恐ろしかった。被害者が鉈で足を切り落とされたりするスプラッターな描写が怖すぎる。ヨーナ・リンナは毎度のことながら鋭すぎる推理で捜査を進め、危険な状況に一人で飛び込んで行き、満身創痍で被害者を救出するという超人ぶり。精神科医のエリックも登場して催眠で捜査を手伝うけれど、この人はいつもやられ役で何かと災難に見舞われるのよねぇ。そういうちょっとヘタレなところがいいんだけど。ヨーナはスーパーマンすぎる・・。

 本作でも精神病患者に電気痙攣療法をしていたけど、電気ショックを与えてわざと痙攣を起こさせることで脳内のバランスを取り戻すためだそうで、なるほど~。ドラマや小説で時々見かけるけど、これまでどうして精神病の人に電気ショックのような恐ろしい治療を施すのかよくわからなかったのよね。これで納得がいったわ。

 エログロ描写に気を取られがちだけど、ストーリーも良く出来ているのよね。事件の唯一の目撃者が精神を病んでいて見たことを思い出せず捜査が難航するなか、催眠をかけて何とか犯人を聞き出そうとするんだけど、なかなか捻りのきいたプロットでとても面白かった。終盤はアクション全開で凄い盛り上がりだったし、このシリーズ、巻を重ねても勢いが衰えず、面白さを保っていて流石だわ。次作はスウェーデンで昨年発売されていて、英語版が今年の5月発売予定になっている。まだ続くみたいね。次はまた女刑事のサーガが活躍するようで楽しみだな。(翻訳出るよね?)

 そして作者のウェブサイトを見たらAppleTV+が前作の"Lazarus"をドラマ化するというニュースが。ザジー・ビーツとトム・ハーディーが出演するらしい。ザジーがサーガ役でトム・ハーディーはユレック役とのこと。(サーガは北欧の超絶美女という設定なんだからアフリカ系でなく金髪碧眼の女優にすればいいのに・・。トム・ハーディはヨーナ役だったらイメージ違うなと思ったけど、そうではなく悪役なのね。)

 

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