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フォーリング 墜落 T・J・ニューマン

フォーリング 墜落

フォーリング 墜落

Falling: A Novel (English Edition)

Falling: A Novel

  • Newman, T. J.
  • Avid Reader Press / Simon & Schuster

 

 新人作家のデビュー作なので過大な期待はせずに読んでみたけれど、あまり面白くなかった。単行本の立派な装丁に見合わない残念な出来のサスペンス。

 作者は元キャビンアテンダントだそうで、航空業界で働く人たちを大いにリスペクトしているのはわかるけど、乗務員はみんな良い奴で有能、パイロットは誠実な人柄で・・というのでは面白味がない。テンプレ通りに書きました!という印象で、悪役も含め、紋切型のキャラクターばかりで深みが感じられなかったし、全く捻りがなくて読まなくても結末がわかってしまうようなストーリーだった。この題材ならそこそこ面白いものが書けそうなものだけどねぇ。やはり作家の力量不足だと思う。

 ホワイトハウスまで巻き込んだ壮大なサスペンスの割にはそこまでの緊張感がなく、FBIの対応もお粗末だし、パイロットももう少し機転をきかせて対処すればいいのにと思いながら読んでいた。作者の経験を元に書いたんだろうけど、前半は客室乗務員の危機管理マニュアルを読んでいるみたいに感じる部分もあり、酸素マスクを手動で取り出すための方法をああだこうだと相談することに頁が費やされていたりしてちょっと退屈だった。パイロットが悪夢を見るのは何かのトラウマのせいかと思ったけど、結局それについての説明はなかったし、犯人の行動に釈然としない点がいくつかあったし、細かいところが雑で詰めが甘いと思う。

 飛行機もののサスペンスだったら最近だと「座席ナンバー7Aの恐怖」のほうがストーリーに意外性があって面白かった。

 

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