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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

偽りの果実 イアン・ランキン

The Impossible Dead: From the iconic #1 bestselling author of A SONG FOR THE DARK TIMES (English Edition)

The Impossible Dead

  • Rankin, Ian
  • Orion

 

 警部補マルコム・フォックス2作目。リーバス警部のシリーズ(ドラマ化もされているらしい)が有名なスコットランドの作家で、評価も高く人気があるようなので読んでみたけど、特別面白いとは思わなかったなあ。

 汚職警官の調査をする部署で働いている警部補のマルコムが主人公で、2人の部下とともに職権乱用で有罪になった警官のことを調べているうちに、過去の事件との意外なつながりが判明し、重大な秘密が暴かれるというストーリー。マルコムと部下は仲が良さそうで、3人でいつもダベっているので、会話が多めで読みやすいのだけど、3人ともそこまで強烈な個性がなく、特別セリフが面白いわけでもないし、ややインパクトに欠ける。マルコムは介護施設に入っている父親と、あまり仲の良くなさそうな妹がいて、私生活は妹から見舞いに行けと言われて父の様子を見に行くことの繰り返しで少々退屈だし、主役にしては地味すぎるキャラクターだと思う。

 事件自体は興味深いのだけど、捜査が少しずつしか進まなくて展開が遅いのよね。スコットランドの内政に関わる壮大な事件で題材はとても良いのに、いまひとつ盛り上がりに欠けるストーリーで、起伏に乏しく中盤は冗長に感じた。事件の結末が気になったので一応最後まで読んだけど、読了までだいぶ時間がかかってしまった。捜査をスピードアップさせて半分くらいの長さにまとまっていたら面白かったと思う。この作家の長年のファンの人なら良さがわかるのかもしれないけど、自分にはイマイチだった。

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