Bocephus Haynes 1作目。マクマートリー教授のシリーズのスピンオフで、内容も登場人物も深く関連しているので、未読の方は前のシリーズから読んだほうがいいと思う。
妻を亡くして失意の底にあった弁護士のボーが再起し、元夫を殺害した罪で起訴された検事長のヘレンを弁護するというストーリー。予想外の展開に驚かされ、とても面白かった。この作家は法廷サスペンスにしてはかなり泥臭い作風で、主人公は正義漢で情に厚く、悪人は腐りきっていて、暴力沙汰がやたらと多く、ツッコミどころはあるけど、法廷の外でも物騒な出来事が次々起こるので、退屈することがない。
既刊4作を読んで少し飽きたので、この作家はもういいかなと思っていたけど、検事長が元夫殺しで逮捕されるというあらすじに興味を引かれたのよね。複雑な生い立ちのボーのキャラクターは以前から気に入っていたし、ヘレンの意外な過去も衝撃的で、これまでになく捻りのきいたストーリーが良かった。女性で検事長の地位まで上り詰めただけあって、ヘレンはなかなかの曲者で侮れないキャラクターだったので、彼女を主役にしても良かったんじゃないかと思う。勝ち目のなさそうな裁判だったのに、タイミング良く証拠が転がり込んできたりするのは、都合良すぎる気がしたけど、最後まで目の離せない展開で面白かった。