F・フォーサイスはスパイもので有名なイギリスの作家で、70年代の初めから小説を書いていて、現在84歳らしい。
アメリカのNSAのコンピューターのハッキングに成功したハッカーが現れ、イギリスのサイバーセキュリティー部門が調査したところ、18歳のアスペルガーのイギリス人青年だと判明し、政府が彼を雇ってロシアやイラン、北朝鮮のシステムに侵入させるというストーリー。フィクションだけど、過去の事柄は事実に即していて、とてもわかりやすく説明されているので、この原書が刊行された2018年迄の世界情勢がおさらいできる。「この小説は現在の世界情勢を知るための教科書だ!」という宣伝文句に納得。ちなみにイギリス首相は架空の人物(女性)になっていて、プーチンとトランプは名前を伏せて書かれていたけど、金正恩は実名だったな。
読みやすいし、スパイものにしては短めなのでサクッと読了できたけど、ハッキング関係の話は、簡単にうまくいきすぎて少々嘘っぽい。それに作者がイギリス人だから、イギリス人の登場人物は良い人ばかりで、かなり自分の国を持ち上げて書いている気がした。現実の世界情勢を土台に大ぼら吹いてみました、という感じのストーリーで、実際にこんなことが起きてロシアやイランや北朝鮮を凹ませられたらいいよねぇという作者の願望なのかしら。まあまあ面白かった。