ロマンス小説感想日記

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海外ミステリーとロマンス小説のブックレビュー

女優エヴリンの七人の夫 テイラー・ジェンキンス・リード

The Seven Husbands of Evelyn Hugo: A Novel (English Edition)

The Seven Husbands of Evelyn Hugo: A Novel

  • Reid, Taylor Jenkins
  • Washington Square Press

 

 ベストセラー作家の超話題作。期待以上に面白かった。これはおすすめ。

 貧しいキューバ移民の娘が貧困生活から抜け出すために女優を目指し、美貌を利用してハリウッドでのし上がっていくストーリーで、ヒロインのエヴリンのキャラクターがまるで実在の人物のようにリアルに描かれていて感情移入せずにいられない。生涯で7回も結婚するという波乱万丈の人生で、それぞれの結婚に複雑な事情があり、DVや同性愛等のショッキングな秘密が明かされていくドラマティックな展開に魅了された。

 エヴリンは役をもらうために自分の体を利用することも厭わないし、映画をヒットさせるためにわざとスキャンダルを起こしたりしていて、決して清廉潔白な女性ではないけれど、映画界のトップを目指しキャリアを追求する野心は称賛に値するし、挫折しても這い上がる強さは素晴らしい。女優として成功するためなら何でもする潔さに圧倒され、のめり込むように読んでしまった。計算高い女性だけど、情熱的で愛情深いところもあり、彼女が愛を失った時には悲痛な思いが伝わってきて泣けたし、思った以上に感動的なストーリーがとても良かった。最後に驚きの事実が明らかになる展開も上手いし、あざとくて汚い面があるにもかかわらず、魅力的で好きにならずにいられないエヴリンの複雑なキャラクターを見事に描いているのが流石。重すぎず読みやすいけど感情に訴えるものがあり、本国で人気なのも納得。所謂ロマンス小説ではなくLGBTの要素もあるけど、読み物として凄く面白いので、読んで損はないと思う。

 私自身は本の装丁にはあまり拘らないけど、この表紙は内容と合ってなくて、せっかく面白い作品なのに読者を逃しているんじゃないかしら。このイラストではコメディだと誤解されそう。