ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

三年間の陥穽 アンデシュ・ルースルンド

Sweet Dreams: A nerve-wracking dark suspense full of twists and turns

Sweet Dreams

  • Roslund, Anders
  • Vintage

 

 Hoffmann & Grens シリーズ5作目。グレーンス警部は、以前は偏屈で感じ悪い人だったのに、今では孤独で寂しい老人という感じの哀れを誘うキャラクターになっているわね。グレーンスが奥さんを悼む感傷的なエピソードと、ピートの家族の絆のエピソードとで、このシリーズも当初よりエモい路線になってきているような。

 今回は小児性愛者のサークルを壊滅させるために、またもやグレーンス警部がピートに潜入捜査を頼み込む。「やってくれ」「いや断る」という2人の押し問答もパターン化していて、これが最後と言いながら、結局ピートが引き受けるというのがお約束になっているわね。

 子供を性的に虐待する変態を捕まえる話なので、内容的にかなり気持ち悪くてゾッとさせられたけど、そんな変質者たちのサークルに嫌悪感を隠して潜入し、精神的に参りそうなピートにハラハラさせられ面白かった。デンマークの警察と連携して捜査し、最終的にさらに多くの国が関わってくる規模の大きな事件で、各国の協力をやけに簡単に取り付けられたのが都合良すぎる気もしたけど、緊迫感のある展開で、捻りもあって最後まで気が抜けず、なかなか読ませるストーリーだった。

 次作の"Trust me"も、その次の"100 percent"もグレーンスとピートのコンビは続いているみたいだけど、どちらも英語版がまだ出ていないのよね。(というか作者のウェブサイトを見るとUKとUSAに版権が売れていないっぽい。)「三時間~」以降は英語版を日本語に訳しているみたいだけど、翻訳は出るのかしら?

 

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