ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

シスター ロザムンド・ラプトン

シスター

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Sister: A Novel

Sister: A Novel

  • Lupton, Rosamund
  • Broadway Books

 

 イギリスの女性作家のデビュー作で、原書はAmazon.comの2011年のMystery &Thriller Books Top 10にも選ばれ、ベストセラーになった話題作。

 大学生の妹の死を警察は自殺だと断定したけれど、何者かに殺害されたに違いないと信じる姉が必死で真相を探るストーリー。全編通して姉の視点で書かれていて、心情を重視した感傷的な内容なのかと思ったけど、読んでみると、意外な事実がどんどん出てくる、なかなか凄い仕掛けのあるミステリーだった。ジェフリー・ディーヴァーが賛辞を寄せているだけのことはある。

 よくある犯人捜しのミステリーだと思ったら、医療系のテーマが盛り込まれていて、予想外の方向に話が転がっていくので先が読めず面白かった。どちらかと言うと淡々とした語り口で、それほど起伏に富んでいるわけでもないのにストーリーに引き込まれ、中だるみを感じることもなくサクサク読めた。文章が若干回りくどい部分があったのと、読者の想像にお任せします的なエンディングがちょっと気に食わないけれど、独創的なストーリーで読者を驚かせようという意気込みが感じられる力作で、心理サスペンスが好きな人なら読んで損はないと思う。A・J・フィンの「ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ」や、アリス・フィーニーなんかが好きな人におすすめ。

 

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