SFは普段はあまり読まないけど、これはアンソロジーで書いているのが有名作家ばかりなので読んでみた。
①「夏の霜」ブレイク・クラウチ
この作家は以前「ダークマター」を読んで割と面白かったけど、この短編も良かった。AIが暴走する系の話で、テーマとしてはありがちなので、SFとしては特別凄いわけではないだろうけど、主人公のレズビアンの女性のキャラクターがリアルで、AIの開発に入れ込みすぎた彼女が辿る運命が恐ろしく、ストーリーに引き込まれた。
②「エマージェンシー・スキン」 N・K・ジェミシン
初めて読んだ作家だけど、このアンソロジーの中で一番気に入った。宇宙から地球に来た青年が、自分の星の統治者たちの真実に気づくストーリーで、SFだけど社会風刺的なテーマが面白いと思った。
③「方舟」ベロニカ・ロス
女性の作家が世界の終焉を描いた感傷的なストーリー。悪くはないけど普通かな。
④「目的地に到着しました」エイモア・トールズ
この作家の「モスクワの伯爵」をそのうち読みたいと思いつつ、長編すぎて手を出せずにいたのよね。これは短編だから手始めに読んでみるのに丁度良かった。この人SFも書けるのね。遺伝子操作がテーマで興味深い内容だったけど、面白いかと言われるとよくわからない。
⑤「最後の会話」ポール・トレンブレイ
ホラー作家らしい、薄気味悪い話だけど面白かった。ホラー界では定評のある作家らしく結構上手い。この作家の映画化された「終末の訪問者」はうちの映画好きの娘が劇場で見て「普通だった。オールドのほうが面白かった。」と言っていた。シャマラン監督作なのでネット配信が始まったら見るつもりなので原作小説は読まなくていいや。
⑥「乱数ジェネレーター」アンディ・ウィアー
期待した割にイマイチだった。SF好きな人で量子コンピューターとかに興味があれば面白いんだと思うけど、登場人物に好感が持てなかったし、あまり痛快さを感じられないストーリーだった。この作家の「プロジェクト・ヘイル・メアリー」が面白すぎたので期待値が高かったけど拍子抜け。
特別SFファンではない自分にも読みやすく、全体的にクオリティの高いアンソロジーだった。