アイスランドのミステリー作家と言えば、A・インドリダソンが有名だけど、この作家も良かった。ほとんどの作品が英訳されていて、英語圏でも人気があるらしい。翻訳ミステリーはやたらと長い作品が多いけど、これは短くまとまっていて中弛みすることもなく一気に読めた。
孤島の一軒家に学生時代の旧友4人が集まることになり、夜は酒を飲んで過ごして朝起きてみると、一人が崖から転落して死亡していた。事故かと思われたけれど、実は10年前に起きた殺人事件と関連していることが発覚し・・というストーリー。不穏な雰囲気が漂うオカルトめいたストーリーで、怖いけど面白かった。主人公のフルダはもうすぐ50になる女性警部で、男性優位の職場で自分より年下の男性が上司という不憫な環境で働いている。この上司が出世のためなら汚いことも平気でする奴で本当に腹立たしく、余計にフルダに肩入れしたくなるのよね。やるせない事件で後味悪い結末だけど面白かった。そこまで複雑な事件ではなく謎解きも割とシンプルなんだけど、ストレートなミステリーが逆に新鮮で良かった。シリーズもので1作目から順番に過去に遡って書かれているらしい。2作目から読んでも問題なかった。全4作のシリーズで3作目までが翻訳されている。
孤島が舞台のミステリーは昔から割とよくあるわよね。最近ではルーシー・フォーリーの「ゲストリスト」や、レイチェル・アボットの「殺人ゲーム」、サラ・ピアースの「サナトリウム」(←孤島でなく雪山だけど) なんかを読んだけど、それらよりも本作のほうが面白かった。この作家の作品はどれも短くて、だいたい350頁程度なので、最近の長すぎるミステリーに辟易している方におすすめです。