G・ヘンドリクスは、最近かなり売れている人気作家なので、そんなに面白いのかなと思い読んでみた。ホラー映画をネタにして書かれたサスペンスだけど、超常現象的な要素はないので普通にミステリーとして楽しめる作品だった。
主人公はホラー映画になるような恐ろしい事件を生き延びた女性で、その経験から精神状態が不安定になっている、信頼できない語り手なので、何が真実なのかわからず一体どういうことなのかと読んでいるうちに話に引き込まれていった。銃撃されたり、警察に捕まって留置所に入れられたり、なかなか派手な逃亡劇が繰り広げられハラハラさせられたし、それほど意外ではなかったけど一応どんでん返しもあり、ミステリーとしてもそこそこ面白かった。
でも小説としての完成度はそれほど高くなく、ホラー大好きな作家が趣味に走ってノリで書いたという感じで、ファンフィクションのような作品という気がした。アイディアは独創的で内容的には面白かったけど、構成とか文章は洗練の余地があると思う。悪くはないけどマニアックな小説だと思うので、これがNYTimesのベストセラーになったとは驚きだな。
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