S・ルーニーはアイルランドの作家で、本国では社会現象になるほどの人気らしい。読んでみると、人間の内面に深く斬り込んだ新感覚の恋愛小説で、ものすごく興味深い内容だった。
高校時代からくっついたり離れたりを繰り返しながら付き合っているマリアンとコネルの物語。2人の関係はとんでもなく不健全で、爽やかなラブストーリーではなく、いじめ、虐待、SM、鬱、自殺といった重いコンテンツがてんこ盛りの気が滅入るストーリーにもかかわらず、どこか壊れていて普通じゃない2人の恋愛模様に引き込まれた。淡々と綴られているけど、マリアンの悲痛な心の叫びが伝わってきて泣けたわ。誤解し、傷つけ合う2人がとても痛々しく、恋愛の苦しみがリアルに描かれていて色々考えさせられた。
読み終わってぐったりするような恋愛小説だけど、なかなか深いものがあり、読んで良かったと思える作品だった。暗くて鬱な内容の割にドライな筆致で描かれているので、そこまでの悲壮感はなく読みやすいと思う。色んな賞を受賞し、高く評価されている作家なのに、翻訳の文章が直訳調でイマイチだったのが残念だわ。この訳者さんはノンフィクションの翻訳が多いみたいで、小説の翻訳は向いていないんじゃないかな。読み難くはないけど明らかに文章が下手だと感じた。
ドラマ化されてます。
出版社もドラマ化で宣伝に力を入れているみたいで、ガイド冊子まで作っている。
『ノーマル・ピープル』(サリー・ルーニー/山崎まどか訳)デイジー・エドガー=ジョーンズとポール・メスカルのBBCドラマ場面写真付き新帯公開のお知らせ
早川書房は8/17迄電子書籍のセール中で、本作も半額になってます。