こういう純文学系は普段あまり読まないのだけど、この作家は比較的読みやすく面白いという評判なので読んでみた。妊娠中の母親のお腹の中にいる胎児の視点で語られている独特のストーリー。
母親のお腹にいる胎児は、母親と叔父が不倫していて、2人して父親を殺す計画を立てているのを聞いている。やけに老成していてオジサンみたいな赤ちゃんの語りが笑えた。赤ん坊は養子に出せばいい、などと2人が相談しているのを聞いて焦ったり、2人がベッドで行為をするのも全部聞いていて、叔父のモノが壁を突き破って自分の頭蓋骨に刺さるんじゃないかと怯えたりしている。何ともシュールなストーリーで、胎児の皮肉な語りが、恐ろしい殺害計画をドタバタ喜劇のように見せていた。
実際にお腹の中にこんな可愛げのない赤ちゃんがいたら嫌だけど、ユニークでインパクトのある小説なのは確かだと思う。やや説教臭い感じはしたけど文章も読みやすかった。