ケンドラ・マイケルズ 2作目。生まれつき盲目で20歳の時に手術で視力を得たため、聴覚や嗅覚や触覚が異様に鋭い音楽療法士のケンドラが、その能力で犯罪捜査に協力し事件を解決に導くシリーズ。
1作目を読んだのが3年くらい前なので記憶が定かではないけれど、ケンドラとFBIとの関係が険悪だった1作目と比べると、両者の対立が多少緩和されて雰囲気が良くなった気がする。彼女が解決に関わった過去の事件の模倣犯が現れ、残虐な犯行を繰り返すという恐ろしい事件で、FBIの捜査陣を翻弄する犯人との攻防が面白かった。元FBIで今はフリーランスのアダム・リンチがハリウッドスター並みのハンサムで、フェラーリを乗り回すお金持ちというところがいかにもロマサスのヒーローっぽいけど、相変わらずロマンスは薄目で、お互いに魅力を感じながらも気持ちを抑えているのがじれったい。リンチは今はスタイル抜群の水着モデルと付き合っているそうなので、彼女と別れないことにはケンドラと付き合えないし、作者は2人をそう簡単にくっつける気はなさそうね・・。
サスペンスに関しては、特異な能力を持つケンドラが活躍するシリーズとは言え、FBIが無能すぎるのがイマイチかな。リンチの出番が少ないのも残念だった。それでも真犯人の正体は意外な人物で、読者をミスリードする"赤いニシン"も用意されていたし、ミステリーとしてもそこそこ楽しめる内容で最後まで飽きることなく読めた。そして本作の事件を次作まで引っ張るのね。続きも読むかな。