B・メイヤーは90年代に硬派な軍事サスペンスで人気があった作家らしい。これは2008年刊行の女性2人が活躍するスパイ・アクションもので、割と面白かった。
シリーズ1作目なので序盤は人物紹介的な内容が続き、若干展開がスローに感じたけれど、中盤に入ると盛り上がり、美女2人が恐ろしい暗殺者を次々となぎ倒しながら逃亡するのが爽快でとても楽しかった。
亡くなった恋人が政府の極秘情報機関ザ・セラーの工作員だったため、彼から何やら重要な証拠品を託されたニーリーは、政府から追われる身になってしまう。石油関係の仕事をしている夫が失踪し途方に暮れている妻のハンナもまた、夫が何か国家の機密に関わる書類を持っていたことで何者かの襲撃を受け、殺されそうになったところをニーリーに助けられ、2人は一緒に逃亡することに。ニーリーは恋人から訓練を受けていたため、銃撃や戦闘はプロ並みの腕前だけど、普通の主婦だったハンナはいきなりとんでもない状況になって四苦八苦。でもそんな彼女が意外とタフなところを見せ活躍するのが良かった。最初はあまり馬が合わないかと思われた2人が、一緒に逃亡するうちに息が合ってきて、絶妙なコンビネーションで敵を倒すのがカッコ良くて惚れ惚れさせられた。
作者は実際に陸軍の特殊部隊に所属していたことがあるそうで、陰謀に関する内容も真実味があったし、秘密機関のザ・セラーも、アメリカなら本当にこういうのがあってもおかしくないなと思った。この手の軍事サスペンスはやたらと長い作品が多い中、比較的短くまとまっていて読みやすかった。1作目は登場人物のバックグラウンドの説明に頁が割かれているぶん、話が盛り上がってくるのが遅かったので、きっと2作目のほうが面白いと思うんだけど翻訳されてないのよね・・。
ところでこの作家は、最近はずっと軍事ものではなく、ロマンス作家のジェニファー・クルージーと共著でロマサスを書いているのよ。どうして全く畑違いのジャンルの作家とコラボする気になったんだろう。何か心境の変化でもあったのかしら。どういう作品なのか凄く興味があるわ。
最新の Liz Danger シリーズは今年3冊も刊行されていて評判も良いみたい。
ジェニファー・クルージーは、ユーモア系のロマンスで定評のある作家で、昔は結構人気があったと思う。私は好きで既刊は全部読んでいるので、これも読みたいなぁ。翻訳出ないかしら。