Wilde シリーズ2作目。面白かった!やはりこの作家は上手いわ。ワイルドのDNA鑑定による肉親捜しに、リアリティ番組で人気者になった男性のスキャンダルによる失墜、悪質なネット荒らしに制裁を加える自警集団という、一見、関連のなさそうな事柄が最後には全て繋がって、おぉー凄い!と唸らされる非常に良く出来たミステリー。
タイトルの "The Match"はDNAの一致のことだったのね。子供の頃、森の中で一人で暮していたところを保護されたワイルドが、DNA鑑定のサイトで親を探し始めたことをきっかけに、予想外の事件に巻き込まれていくというストーリーで、先の読めない展開に、どんどんページをめくってしまうこと請け合い。私もリアリティ番組は嫌いで、あんなくだらないものを見る人の気が知れないと思っているんだけど、本当にああいう番組って腐ってるなあと思い知らされた。これはフィクションだけど、実際、有名になるためなら何でもする人達ばかりの恐ろしい世界なんだろうなと。
主役のワイルドは相変わらず不思議系(?)で掴みどころのないキャラクターだけど、人をなかなか信用せず、孤独を好む彼が、亡くなった親友の息子を可愛がっていたり、少数の親しい人たちのことは大切に思っているのが良かった。70代の敏腕弁護士へスターの恋話はいらない(ベッドで「すごく良かった!」とか言ってる場面はやめて~。)けど、ワイルドの恋愛がどうなるかはちょっと気になる。
DNA鑑定サイトに、リアリティー番組の闇、ネットの誹謗中傷という、現代社会における興味深いトピックがたっぷり盛り込まれていて、ミステリーとしても秀逸。前作も良かったけどそれよりさらに面白かった。この作家が「このミス」とかのランキングに全然入っていないのは絶対おかしい。もし東京創元社か早川書房が出してたら選ばれてると思う。