ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

永き夜の終わりに アイリス・ジョハンセン ロイ・ジョハンセン

永き夜の終わりに (MIRA文庫)

永き夜の終わりに (MIRA文庫)

  • アイリス・ジョハンセン, ロイ・ジョハンセン
  • ハーパーコリンズ・ジャパン
Night Watch: A Novel (Kendra Michaels Book 4) (English Edition)

Night Watch: A Novel (Kendra Michaels Book 4)

  • Johansen, Iris, Johansen, Roy
  • St. Martin's Press

 

 Kendra Michaels 4作目。シリーズ中、これが一番良かった。ケンドラの目を治療した医師が拉致される事件が起き、彼を救出するためにケンドラが奔走するストーリー。医師の研究プロジェクトにまつわる陰謀が興味深くて面白かった。(テス・ジェリッツェンが書きそうなメディカル・サスペンスだなとちょっと思った。)

 私立探偵のジェシーという新しいキャラクターが登場して活躍していたのも良かった。元軍人でバイクを乗り回すカッコいい女性で、かなり有能だし、ケンドラの良い相棒になりそう。彼女は今後も登場するのかしら?今回は、恩師を救うためとは言え、ケンドラがかなり無謀な行動に走っていて、周りはハラハラさせられっぱなし。暴走するケンドラよりも、冷静なジェシーのほうが好感が持てるくらいだったけど、緊迫感のあるサスペンスがとても面白かった。

 捜査のためにイギリスへ行かなければならなくなったアダムが、彼女の身を案じてジェシーを護衛に付けてくれたのに、ケンドラが、アタシは自立した女!余計なお世話よ!と怒るのはちょっと理不尽だと思った。素直に感謝すればいいのにアダムが気の毒になったわ。ロマサスのヒロインにしてはちょっと可愛げないわね。まあサスペンスが面白かったので、もうロマンスはどうでもいいやと思って読んでいたけど。MIRA文庫から刊行されているからロマサスだと思って読む人が多いと思うけど、ロマンスは薄目でミステリーのカテゴリーに入れても良いくらいの内容だと思う。ロイ・ジョハンセンは一応エドガー賞を受賞している作家だし。

 4作目まで読んで、文章にちょっと気になる点が。アクションシーンで、やけに擬音語が多用されていて、「銃声がした。パンパンパン」みたいに書かれてるんだけど、この「パンパンパン」は読んでいて違和感あるし、安っぽく感じられるから入れないほうがいいと思うのよね。些細なことだけど気になるわ。ロイ・ジョハンセンは元々は脚本家としてデビューして、その後小説を書き始めたらしいから、もしかしたら脚本を書いていた影響でこういう文体なのかなと思ったり・・・。(脚本てどんな風に書くものなのか詳しくは知らないけど。)

 それにしても母と息子が仲良く一緒に小説を書いてるなんて微笑ましいわね。ロイ・ジョハンセンのウェブサイトを見たら、2人でテレビに出てインタビューを受けた時の動画があって、お互いに離れたところに住んでいるから、原稿をメールで送り合って、代わりばんこに書いているとか言っていた。ちなみにこのシリーズは翻訳は4作で終了しているけど、原書は10作目まで刊行済みで、11作目が来年発売予定。イヴ・ダンカンのシリーズほどではないけど、結構長く続いているのね。

 

無断転載禁止 copyright © 2018 BOOKWORM