ロマンス小説感想日記

翻訳ミステリー&ロマンス小説感想日記

海外ミステリーとロマンス小説のブックレビュー

化学の授業をはじめます ボニー・ガルマス

化学の授業をはじめます。

化学の授業をはじめます。

  • ボニー・ガルマス
  • 文藝春秋
Lessons in Chemistry: A Novel (English Edition)

Lessons in Chemistry: A Novel

  • Garmus, Bonnie
  • Doubleday

 

 ドラマを見たので内容はわかっているのだけど、小説も読みたかったので買ったわ。単行本なので高かったけど面白かったので満足!できることならドラマを見る前に読みたかったけど、翻訳を出してくれただけでもありがたい。原書がベストセラーになっただけのことはあり、本当に楽しい小説だった。これは女性が読んだら溜飲が下がること間違いなし。エリザベスとキャルヴィンの化学オタク同志のカップルが微笑ましくて素敵なので、ロマンス好きな女性にもおすすめ。

 1950年代のアメリカで女性の科学者が奮闘する物語で、大学教授からセクハラを受けたり、同僚に研究を盗用されたり、性差別と戦いながら頑張る主人公のエリザベスに共感せずにいられない。狭量な両親の元で育った辛い子供時代から、ソウルメイトのキャルヴィンとの出会い、研究所をクビになって、ひょんなことからテレビの料理番組に出ることになったり、エリザベスの波乱万丈な人生に引き込まれ、どんどんページをめくってしまった。化学オタクの変わり者だけど、決して信念を曲げない強い女性で、誰もが応援したくなる稀有なヒロインだと思う。ドラマティックな内容だけど深刻すぎず、ユーモラスで思わずクスっと笑ってしまう場面もあり、とても面白かった。

 隣人のハリエットはドラマでは幸せな結婚をしている子育て中のアフリカ系の女性だったけど、小説では碌でもないDV男との結婚生活に耐えている50代の女性で、だいぶ設定が違っていたな。研究所の秘書のフラスクも、小説のほうが性悪だけど面白いキャラクターだった。悪役からヒロインの飼い犬まで、脇役もみんな個性があり、キャラクターの描き方が上手い。面白すぎてあっという間に読み終えてしまった。これほど楽しい小説はなかなかないと思う。笑って泣けて、心が温まり、気分爽快になれるストーリー。これは読まなきゃ損でしょう。

 

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 ドラマを見ているからエリザベスはブリー・ラーソン、カルヴィンはルイス・プルマンをイメージして読んでいたけど、2人とも役にピッタリで良かったと思う。小説だとカルヴィンは見た目は冴えない男性ということだったけど、ルイス・プルマンはハンサムすぎず、そこそこチャーミングで優しそうで絶妙なキャスティングだわ。

 

  私自身は理系科目はからっきし駄目な文系人間だけど、娘がリケジョで理工学の修士課程で私にはよくわからない難しい実験を毎日しているのよね。今は女子でも理系分野で活躍できる時代だから良いけど、一昔前の女性は本当に大変だったと思うわ。