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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

零下18度の棺 ステファン・アーンヘム

刑事ファビアン・リスク 零下18度の棺 (ハーパーBOOKS)

刑事ファビアン・リスク 零下18度の棺 (ハーパーBOOKS)

  • ステファン アーンヘム
  • ハーパーコリンズ・ ジャパン

 

 北欧ミステリー。スウェーデンのミステリー作家は元ジャーナリストが多い気がするけど、この人は脚本家として長年活躍した後、作家に転身したとのこと。全6作のこのシリーズは全て英語版が出版されているので英語圏でもそこそこ人気があるのかな? 1、2作目は未読だけど、そもそも全部読むかわからないので、既刊で一番評判の良さそうな3作目を読んでみた。

 かなり残虐だけど興味深い事件でミステリーとしては面白かったけど、主人公のファビアンがあまり面白味のないキャラクターで魅力に欠けるのよね。刑事として特別秀でているとも思えず、際立った特徴もなくてつまらない。家族関係に問題を抱えていて、奥さんとは離婚寸前だし、ティーンエイジャーの息子との関係もギクシャクしていて、色々大変そうだけど、そういう私生活について書かれている部分にはあまり興味が持てなかった。登場人物がやたらと多いので、そのぶん主人公の影が薄くなっているのも良くないと思う。スウェーデンでファビアンが捜査する殺人事件の他に、デンマークの女性刑事ドゥニヤが捜査する別の事件についても書かれていて盛沢山な内容だけど、色々詰め込みすぎている印象で、もう少しすっきりさせたほうが読みやすいと思う。ファビアンよりもドゥニヤのほうがキャラが立っていて、上司に捜査を妨害されながらも頑張っているところが良かった。

 ファビアンのキャラクターはイマイチだけどストーリーは面白く、次々と人が殺される恐ろしい犯罪でインパクトがあり、犯人の行動も予想がつかず、緊張感のある展開が続きハラハラさせられた。狡猾な犯人と警察との攻防は読みごたえがあった。シリーズの他の作品も読むか迷うところだなぁ。

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