この作家の最新作「トゥモロー・アンド・トゥモロー～」(→感想) が気に入ったので過去の作品も読んでみた。2005年刊行のYA小説だけど、これは古くても読む価値のある作品だわ。笑いあり、涙ありの本当に素敵なストーリーで、どの世代の人が読んでも感動すること間違いなし。YA小説だからといって大人が読まずにおくのはもったいない傑作だと思う。
主人公のリズは15歳で交通事故に遭って死んでしまう。これから大学に入って素敵な恋もして、動物好きなので将来は獣医になりたいと思っていたのに・・。そして目が覚めると何と死後の世界"ドコカ"へ行く船に乗っていた。そこは地上とは逆に、だんだん若返っていくという世界で・・・というストーリー。死後の世界を描いているとは言え、宗教めいたところはなく、説教臭くもなく、読みやすいけれど人生について考えさせられる深いものがありとても良かった。読みながら何度ももらい泣きしてしまったけれど、悲しいだけの物語ではなくユーモラスで思わずクスっと笑ってしまう場面もあり、絶妙な匙加減で読ませるところが上手い。リズはドコカで素敵な青年に出会って遂に恋に落ちるけれど、その恋も前途多難で、甘酸っぱくもほろ苦い展開にハラハラさせられた。作者が犬好きだそうで、出てくる犬たちも可愛いくて（しかも喋るし）ほっこりさせられた。死を扱った内容だと暗くなりがちだけど、これは希望が感じられ、前向きになれるストーリーで、この作品に出会えて良かったと思える素晴らしい小説だった。
