G・ゼヴィンの2016年本屋大賞翻訳部門受賞作。本屋が主人公の心温まる物語とくれば、そりゃあ受賞するわよね。私は先に読んだ「トゥモロー・アンド・トゥモロー~」と「天国からはじまる物語」のほうが好きだけど、これも良かったと思う。
島で唯一の書店を営んでいる中年男性フィクリーは、奥さんを交通事故で亡くして以来ふさぎ込んでいたけれど、書店に捨てられていた赤ちゃんを引き取ったことで救われる。新しい家族を得たことで偏屈だった彼も人当りが良くなり、出版社の営業の女性とのロマンスも芽生えて万事順調。人生悪いことばかりじゃないよね~と思える素敵なストーリーで、舞台がアメリカ東海岸の島なので、どこか現実離れした雰囲気がある。フィクリーの店にあった稀覯本が盗まれる事件が起きる興味深い展開もあり面白かった。結末は少し悲しいけれど、この作家はユーモアを交えて暗くなりすぎない絶妙な匙加減で書いているのが上手い。フィクリーに「あなたの脳みそが好きなの」と言うアメリアのセリフが良かった。脳みそを好きになってくれる人と結婚できたら最高だよねぇ。
2022年に映画化されていますが日本では未公開。
米国ではPrime Videoで配信中