ロマンス小説感想日記

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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

餌食 ジョン・サンドフォード

餌食 (講談社文庫 さ 79-1)

餌食 (講談社文庫)

  • ジョン サンドフォード
  • 講談社
Certain Prey (The Prey Series Book 10) (English Edition)

Certain Prey (The Prey Series Book 10)

  • Sandford, John
  • G.P. Putnam's Sons

 

 Lucas Davenport シリーズ10作目 1年くらい前に1作目の「サディスティック・キラー」を読んで、割と面白かったのでもう1冊読んでみた。この10作目を最後に翻訳が途切れているけど、本国ではいまだに刊行が続いている人気シリーズ。1作目と雰囲気が違うように感じたけど、翻訳者が変わっているせいかな。

 主人公のルーカスが、殺し屋と弁護士の女性2人組を追い詰めるストーリー。敵の2人がかなり強烈で面白かった。最初は殺し屋のほうが恐ろしいと思ったけど、彼女は殺人を仕事にしている割には意外とまともで、弁護士のほうがぶっ飛んだキャラクターだった。どちらもソシオパスだけど賢く、警察の裏をかいて行動するのでなかなか捕まらず手強い。容赦なく人を殺している2人だけど、ユーモアも感じられる興味深いキャラクターだった。この敵役は13作目で再登場するみたいだけど翻訳されていないのが残念。ルーカスはまたもや容疑者の家に勝手に侵入して証拠を漁ったり強引なことをしていたわね。これは原書が2000年の作品だから、まだこういう捜査方法もアリだったのかもしれないけど、今こんなことをしたらかなりマズいよねぇ。翻訳されていないからわからないけど、最近の作品でもこういう違法な捜査をしているのか気になるわ。

 このシリーズは本国ではかなり売れているのに翻訳が止まっているけど、内容的には日本人にも受けそうな警察もので、ルーカスはハリー・ボッシュのライバルになれそうな個性的なキャラクターなのにもったいないわね。(これが最後の翻訳作だけど、売れなかったんだとしたらこの表紙が悪いんじゃないかしら。どうしてこんなアメコミ風の妙なイラストを使ったのか??)  P・コーンウェルの検屍官シリーズなんかは巻が進むにつれて評判が落ちてきてもずっと翻訳が出ていたのに。

 

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