ロマンス小説感想日記

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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

ナッシング・マン キャサリン・ライアン・ハワード

ナッシング・マン (新潮文庫 ハ 59-2)

ナッシング・マン (新潮文庫)

  • キャサリン・R・ハワード
  • 新潮社
The Nothing Man

The Nothing Man

  • Howard, Catherine Ryan
  • Blackstone Publishing

 

 前作が割と面白かったので、こちらも読んでみた。連続殺人犯に家族を皆殺しにされ、一人だけ生き延びた12歳の少女が、大人になって当時の事件を調査し犯罪実話の本を書いて出版することで、未だに捕まっていない犯人をおびき出そうとするストーリー。

 自分の過去の犯罪について書かれた本が出版されて、焦ってその本を買って読む犯人の視点で書かれていて、犯人が読んでいる本の内容がそのまま作中作として収録されているユニークな構成。着想は斬新で面白いと思う。過去の連続殺人事件については、作中作に書かれているのを読む形になるので、若干盛り上がりに欠ける気はしたけれど、内容は興味深くて面白かった。犯罪実録ものとは言え、被害者自身が書いている設定なので心情を語る部分も多く、事件を生き延びた女性の回顧録のような雰囲気があった。

 終盤は意外な展開もあり(そこまで凄いどんでん返しではないけれど)ハラハラさせられ面白かった。最後まで退屈することなく読めたし、傑作とは言わないけれど、そこそこ楽しめる悪くないサスペンスだった。

 ちなみにこの作家の前作「56日間」(→感想) は Amazon Studio が "Obsession" のタイトルでドラマ化することが決定している。

 

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