ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

陪審員C-2の情事 ジル・シメント

 法廷ミステリーかと思ったけどミステリー要素は少なめで、陪審員の人間模様を描いたフィクションという感じ。陪審員に選出され裁判中隔離されることになった人達がどういう待遇を受けるのかが書かれていて興味深かったけど、面白いかと言われると微妙かなあ。

 フロリダ州で10代の少女が幼い弟を焼死させた事件の裁判で、アメリカでは陪審員は12人だと思っていたけどフロリダでは6人とのことで、州によって違うとは知らなかった。人数が少ないほど責任重大で大変だよねぇ。主人公の陪審員C-2は52歳の女性で80代の夫がいるけれど、裁判中、老齢の夫との息の詰まる生活から解放されて陪審員F-17との浮気に走ってしまう。陪審員同士で情事に耽り、そのせいで法廷でも上の空になっているのはどうかと思うけど、老いゆく自分に焦りを感じる気持ちはわからなくもない。事件はとても興味深く、双子の姉妹の姉が妹を精神的に支配しているという歪んだ関係性に焦点が当てられ、裁判の行方を興味津々で読んでいたのに、結局事件の真相はわからずじまいで残念。

 結局これは事件そのものよりも、主人公の葛藤や、夫との複雑な関係性がメインのストーリーなのよね。裁判中の浮気が波紋を及ぼしていく展開は意外性があってなかなか良かった。重いテーマを扱っているけど、短くまとまっていて読みやすい。老いてからの夫婦のあり方を考えさせられる内容で、深みのある恋愛小説だと思う。あまり楽しい話ではないけど・・。

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